なろうハイファンタジー 一年間の歩み
燃える宝石のようなきらめき、輝く虹のような「萌え人」の記事を、もう一度。
2020.08.02
眩しいの。今もあの記事が。
2021.08.01
どうも、日本萌学会のはるひです。今回は上記の一年前の記事の再演となります。なのでとりあえずその記事を読むことをおすすめします。今回は対象をハイファンタジー月間ランキングのみに絞り、また昨年8月より毎月取得してきたデータが有ることから一年間でのデータの変遷に着目していきます。また分析ソフトを自作の雑プログラムからKH Coderに変更したので精度が上がっています。それでは早速やっていきましょう。レヴュースタァライト要素はありません。
集計結果の注意事項
「する」「なる」「ある」「いる」「ない」「~」などの構造上必ず頻出する単語や正しい抽出が難しい単語は集計の対象から外しています。明らかな表記揺れは統合して計上しています。
各月頻出上位10単語まで掲載 凡例:順位.単語(出現回数) 下線:順位上昇 太字:新登場
2020年8月
1.最強(43) 2.追放(39) 3.世界(23) 4.冒険(18) 5.スキル(16) 6.パーティ(23) 7.成り上がる(12) 8.勇者(11) 9.ギルド(9) 10.剣(8)
始まりの月。「最強」はその名にふさわしく最頻出ワードとして君臨。その他の単語たちもなろうらしさを醸すラインナップ。
2020年9月
1.最強(45) 2.追放(42) 3.パーティ(23) 4.世界(22) 5.勇者(20) 6.スキル(16) 7.魔王(15) 8.冒険(11) 9.聖女(9) 9.転生(9)
ランキングの変動はあったものの出現回数に関してはあまり変わらない様子。新登場の単語もなろうファンタジーにはおなじみの要素である。
2020年10月
1.最強(36) 2.追放(29) 3.パーティ(21) 4.世界(18) 5.勇者(18) 6.スキル(16) 7.魔王(13) 8.転生(11) 9.冒険(10) 10.剣(9)
先月より大きな変化はなく安定している。むしろここまで変化がないとちょっとびっくりする。
2020年11月
1.最強(31) 2.追放(30) 3.言う(26) 4.パーティ(18) 5.もう(16) 6.世界(16) 7.勇者(16) 8.遅い(15) 9.スキル(14) 9.魔法(14)
はい。なろうハイファンタジーの中で何かが起こりました。追放ものの新テンプレ構文が生まれたことによるパラダイムシフトです。もう察している方がいるかもしれませんがそのテンプレとは「今更戻って(帰って)こいと言われてももう遅い」構文です。10位以降の単語を見てもそれがはっきりと現れています。
10.今更(13) 11.宮廷(11) 12.魔王(10) 12.戻る(10)
加えて強い流行が生まれると全体的にテイストが偏るようです。「宮廷」なんて言葉が頻出することなんてあるんだという気持ちです。
ちなみにデータ取得時のランキングトップの作品は『宮廷テイマー、コストカットで追放されて自由を得たので未開拓領域に使い魔の楽園を作ることにする ~竜も馬も言うことを聞かなくなったから帰って来いと今更言われても……もうエルフと同盟を結んだので……~』です。まさに体現。
2020年12月
1.追放(43) 2.もう(29) 3.最強(25) 3.遅い(25) 4.パーティ(23) 5.言う(20) 6.今更(17) 6.勇者(17) 7.戻る(16) 8.宮廷(15) 9.知る(13) 10.スローライフ(12)
上位層の登場回数が底上げされているため10位以降かつ登場回数が10回以上の単語も紹介したいと思います。
12.世界(10) 12.仲間(10) 12.冒険(10)
テンプレ構文の援護を受け遂に「追放」が「最強」への下剋上を果たしトップに立ちました。記念すべき月です。「今更もう遅い」構文の勢いは留まることを知らず、それでいて今までの上位層も脱落していないことから煮詰まり具合がとんでもないことになっています。
2021年1月
1.追放(54) 2.最強(30) 3.もう(27) 4.パーティ(24) 5.遅い(21) 6.戻る(17) 7.言う(15) 7.冒険(15) 8.今更(14) 8.魔法(14) 8.勇者(14) 8.スキル(13) 9.知る(13) 10.ギルド(12)
[10位以降]11.世界(11) 11.精霊(11) 11.魔術(11) 12.宮廷(10)
追放最強!追放最強!「追放」の栄冠は未だ沈まず、「今更もう遅い」文脈を含んだ追放ものの黄金期といって差し支えないほどの隆盛を極めています。
この月で特徴的なのは「今更もう遅い」以前にスタンダードだった単語群が再登場していることでしょう。元々そんなに減ってたわけじゃないですが。新しいものとしての例の構文の受容が一旦終わり、旧来の文化と混合されるようになったか、あるいは旧来の文化が単に復興してきたかのどちらかが考えられると思います。ルネサンスかな?
2021年2月
1.追放(50) 2.最強(31) 3.パーティ(30) 4.もう(22) 5.勇者(21) 6.言う(19) 7.戻る(18) 8.遅い(14) 9.今更(13) 10.スキル(13) 10.冒険(13)
[10位以降]11.ギルド(12) 11.魔法(12) 12.精霊(10) 12.魔(10) 12.魔王(10) 12.魔術(10)
黄金期継続中。10位以降については偶然でしょうが”魔”が好きすぎるだろといった感じですね。この”魔”一字の単語ですが恐らく「魔○○」という形の単語のうち分析ソフトが対応できず魔と○○に分割してしまって計上されているのだと思われます。違うかもしれませんが。分析ソフトはオタク的造語名詞に対応できない場合があります。
2021年3月
1.追放(41) 2.最強(27) 3.冒険(21) 3.パーティ(21) 4.言う(18) 4.戻る(18) 5.勇者(17) 6.スキル(16) 7.ギルド(13) 8.もう(12) 9.遅い(11) 10.今更(10) 10.魔王(10)
追放の一強時代は続きます。けれども異様な盛り上がりだった「今更もう遅い」ブームは落ち着いてきた様子です。それ以外は表面上特に変化はないように思えます。
2021年4月
1.追放(40) 2.最強(35) 3.スキル(33) 4.パーティ(23) 5.言う(15) 6.勇者(15) 6.もう(15) 7.世界(13) 7.冒険(13) 8.ギルド(11) 8.遅い(11) 9.魔法(11) 9.戻る(11) 10.魔(10) 10.魔王(10)
「最強」が勢いを取り戻しつつあります。時を同じくして他の部分も2020年8-10月頃の秩序が復活し始めているように見て取れます。もしかしてループして……しかし全盛期に比べ数が減ったとはいえ「今更もう遅い」構文も健在のようです。
2021年5月
1.追放(48) 2.最強(37) 3.スキル(33) 4.パーティ(26) 5.勇者(20) 6.冒険(14) 7.ギルド(13) 8.世界 (13) 9.魔王(12) 9.魔術(12) 10.書籍(11) 10.魔法(11) 10.戻る(11)
[10位以降] 11.言う(10) 11.無双(10) 11.もう(10)
基本的には現状維持ですが一部新登場の単語があります。「書籍」は商業化が決定した作品のタイトルに貼り付けられる〈書籍化決定〉とか【書籍化済】とかのそれです。これ定期的に散見されますけど出版会社側から書いてくださいとか言われるんですかね?「無双」については説明不要な気がしますが、なぜこのタイミングで浮上したのかという疑問が残ります。これもルネサンスか?(適当)
2021年6月
1.追放(42) 2.最強(41) 3.スキル(23) 3.魔王(23) 4.勇者(22) 5.パーティ(20) 6.魔法(16) 7.冒険(12) 8.魔術(11) 9.世界(10) 9.無双(10) 9.戻る(10) 10.剣(9)
長らく「追放」の後塵を拝してきた「最強」ですが、その差を1にまで縮めました。数ヶ月前までは絶望的な所まで引き離されていましたものの、遂に再びほぼ横並びの状況まで持ち直し非常にアツい展開となっております。意趣返し成功なるか固唾を呑んで見守りたいと思います。それ以外は特に見どころのない月です。なんか魔王がやたら増えてるけどなんでかわからん。
2021年7月
1.最強(43) 2.追放(39) 3.スキル(21) 4.パーティ(18) 5.冒険(15) 6.世界(13) 7.言う(11) 7.勇者(11) 8.ギルド(10) 8.ランク(10) 8.遅い(10) 9.魔術(9) 9.魔法(9) 9.無双(9) 9.戻る(9) 9.力(9) 10.レベル(8) 10.魔王(8) 10.もう(8)
王者「最強」復権ッ!!!「追放」に敗れるという屈辱を濯ぎ、半年越しでトップを奪還ッ!なろう全体でも驚異の出現率を誇る「最強」。最早なろうの王と言っても過言ではない「最強」がライバル「追放」に貫禄を見せ付け見事、名実ともに「最強」の座へと返り咲いたッ!!!
2021年8月
1.追放(42) 2.最強(40) 3.ギルド(20) 4.スキル(19) 5.パーティ(18) 6.冒険(15) 7.勇者(14) 8.ランク(13) 8.魔法(13) 9.言う(12) 9.遅い(12) 9.戻る(12) 10.世界(10) 10.もう(10)
はい。最強は最強ではなかったということで。
そこ以外は概ね、例のブームが過ぎ去った後の傾向を引き継いだ結果が出ています。もう言うことはないでしょう。出現回数10未満の単語で言及しておきたいものとして「11.実家(9)」を挙げておきます。なんなんすかこれ。なんだか流行りそうな予感がしますが気のせいかもしれません。
ここまで2020年8月から一年間のデータを見てきました。最後に今回話題になった単語の出現増減をグラフ化してみたいと思います。
見どころは「最強」と「追放」の龍の如き頂上決戦と、2020年11月からの例のテンプレ構文の跳ね上がりとそれを受けて一部単語が減少する部分ですね。面白いと思います。
この記事の全体としてのまとめです。なろうのタイトルにはもともとある種統一された文化がありますが、急激なブームが起こるとそれが一時的に破壊されます。やがてそのブームが冷め始めると元来の文化がそのブームの要素を吸収する形で復活するようです。ただしいくら流行っても要素の汎用性が低すぎると取り込まれないのだと推測できます。(今回であれば「宮廷」など)まあこのまとめが正しいかは今後も観測を続けないと検証できませんが。
じゃあ例によって最近読んでるなろう掲載作品紹介して帰るね。実は最近全然なろう漁れて無くて更新だけを摂取してるだけの存在になってるんですけど。
勇者も知りたい○○の倒し方 ~勇者が倒れたジリ貧世界で勇者でも勝てない災厄が追い討ちかけてくる~
面白いよ。
面白いよ。
紹介の仕方が雑すぎるのは、期末レポートを仕上げた上でこの記事を一気に書き上げており疲労困憊で頭が回っていないからです。ごめんなさい。
さっき言ったように最近なろう漁りが足りてないので現状に即した分析(まあこの記事の記述が分析と言えるほどのものであるかというのは怪しいですが)が出来てないかもしれません。なので、もしこの記事を読んだ方でなんか記述にツッコミがあるというなろう有識者は是非コメント等に書いてみてください。
一応ローファンタジーランキングの方もデータは取ってるけど記事にする予定はありません。疲れたので……。
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